夏休みの自由課題に手作りのオリジナル甲冑
夏休みの自由課題の工作として子供さんと一緒に、オリジナル甲冑をつくってはいかがでしょうか。
甲冑を作るのと一緒に、甲冑の歴史や時代背景についても調べさせてみると、それが立派な夏休みの自由研究にもなるはずだ。何よりも、子供と一緒に甲冑を作ることで子供とのコミュニケーションが取れ、子供さんも、そしてお父さんお母さんも楽しく夏休みのひと時を過ごせるのではないでしょうか。
かと言って、僕はそれほど甲冑に対しても知識もない。
また、それほどクオリティの高いものは作れないし、凝ったものを作り出すと、それこそ夏休み掛けても完成させることができない。
なので、実在の武将の甲冑のレプリカのように精巧なものではなく、オリジナルで簡単に作れるような、そんな甲冑を作っていきましょう。
日本の甲冑の種類
甲冑について、ちょっとだけ調べてみた。
戦闘の際に敵の攻撃から身を守るための甲冑は、古代から世界各国で作製され、各々の国々で相互に影響しあいながら発達してきました。
日本の甲冑は大陸からの影響を受けつつ、日本独自の形で発展を遂げてきています。
日本でいう甲冑とは、胴部を守る鎧(甲、よろい)と、頭部を守る兜(冑、かぶと)からなる武具で、甲冑の発展は、騎馬での戦い方や弓矢での戦い方、徒歩戦や鉄砲での戦い方など、戦の形によって変化してきているようです。
挂甲と短甲
挂甲の発祥は中国と考えられています。挂甲は、小さな鉄の札を細い革紐で繋げ1枚の板にして漆を塗り、それを革紐若しくは組紐などで繋ぎ下げる形式の鎧である。1枚胴前合わせや4枚胴の形式があり、4枚胴形式は後の大鎧の原型となったとされています。
短甲は日本独自の形で、薄い鉄板を幾つかのパーツに整形し鋲や紐で繋ぎ止める形の鎧となっています。前合わせと蝶番式の銅形式があったとされています。また木製の簡易な短甲も遺跡から発見されているようです。
大鎧
大鎧は脇楯と鎧の本体が分れた形のもので、平安時代初期の頃に出来上がったとされ、日本の鎧の原型ともいわれています。平安期に作成された「伴大納言絵詞」によれば、当時は検非偉使と呼ばれる役人が階級に応じて使用していたとされ、戦闘のための防具というより、儀式などの際に着用されものであったようです。そのため、式正の鎧とも呼ばれていました。
腹巻(はらまき)
腹巻は鎌倉時代後期頃に、軽装の鎧である腹当が進化してできたものとされています。徒歩戦に適し軽量な構造のため、主に下級の武士に用いられ、兜や袖などはなく、腹巻本体のみで使用されていました。腹巻はのちに胴丸へと進化していったと考えられています。
銅丸鎧
平安時代末期には装着に不便な大鎧から簡単に装着できる、脇楯と鎧の本体が一体型の銅丸鎧が開発され、源義経が奉納したとされる「紅威の銅丸鎧」は、大鎧から銅丸への移行形と推測されています。平安期から室町期にかけて大鎧から胴丸鎧へと変化し、簡単な素懸威の出現により大量生産が可能となると、戦国期の甲冑へと変遷し、その頃から甲冑は「具足」と呼ばれるようになります。
甲冑づくりに必要な材料と道具
甲冑づくりに必要な材料や工具を用意しましょう。
子供と一緒に作業がしやすいように金属やプラスチックではなく、紙でつくることにします。
厚紙を用意してもいいのですが、段ボールや牛乳パックなどを使うと、材料が簡単に手に入るし、材料費もかからない。とてもリーズナブルにオリジナル甲冑を作ることができます。
ここでは、段ボールを用いた甲冑づくりの説明をしたいと思います。
材料
甲冑づくりの材料は次の通りです。段ボールはただで手に入れられますし、その他の材料も100円均一(僕はダイソーを利用)で購入できるもので概ね揃えることができます。
・段ボール
段ボールは、スーパーやコンビニでもらってくることが出来ます。僕は、表面が黒色の段ボールをもらってきました。ただで手に入るので材料費が節約でき大助かりです。牛乳パックを使ってもよいかと思います。塗装が面倒なので、色付きの段ボールを使って作成しました。
・平紐(靴紐で代用)
甲冑の縅(草摺や袖などの板と板をつなぐ紐)に使います。僕は、紺色の靴紐(120㎝)で代用しました。靴紐は、先端にアグレットが付いているので、穴を通すときに通しやすくて作業がし易かったです。好みに合わせて靴紐の色を探してみるといいと思います。
・綿紐
甲冑の飾りつけや兜の緒、手甲等を結ぶときなどに使います。100均で購入してきました。僕は写真のような種類を用意しましたが、色は好みで選んで、カラフルなもので甲冑を煌びやかにするのもいいと思います。太さも自由に選んでいいと思います。
・バイアステープ
甲冑の縁の飾りつけに使います。僕は、しろこや草摺りの小板の縁を飾るのに使いました。これも100均で購入してきました。僕は紺色や青色を使ってみましたが、お好きな色を選んでいいと思います。縁をそのままにしておく場合は、使う必要はありません。
・布や端切れ
籠手や佩楯、その他にも胴の胸板部分や兜の吹返しなどの飾りに布を使います。僕は、銅の方部分にも使いました。和柄の端切れが、それらしく見えるのでいいと思います。生地屋等で売っていますが、もちろんこれも100均でも揃えることができます。
・飾り用具等
甲冑の飾りつけに使います。ほとんど100均で購入しました。僕は甲冑を留める紐のアグレットに使ってみました。金具などで、甲冑の縁を飾ったり、兜にピンを付けるのもいいかも知れません。好みで色々と飾りつけして格好よい甲冑を作ってください。
工具
工具もご家庭にあるもので十分ですが、足りないものもほとんど100均で揃えることができます。パンチ等はホームセンターで購入できます。下記の工具を用意しておけば、概ね大丈夫でしょう。
・物差し
甲冑の採寸に使います。長めの物差しがあると便利です。僕は自宅にあった30センチ物差しを使いました。曲線を描くことが多いので製図用の曲定規があるといいかも知れませんが、僕は曲定規がなかったのでフリーハンドで曲線は描きました。
・ハサミ
段ボール等をカットします。厚手のものが切れるようなハサミがおすすめです。100均で購入できますが、僕は、ホームセンターで購入したクラフト用のハサミ(500円ほどでした)も使いました。段ボールなので細かい部分が切りづらいので注意してください。
・カッター
ハサミ同様に段ボールのカットに使いますが、ハサミの方が切りやすかったので、僕はあまり使いませんでした。細かい部分はカッターの方が切りやすいと思うので、用意しておくと便利です。段ボールを切るときに刃がスライドしちゃうので、ネジ締めのものがいいと思います。
・接着剤(紙用ボンド等)
段ボールの接着や仮止めに使います。速乾性がおすすめです。僕は、100均で購入したボンドと、ホームセンターで購入した手芸用のボンド(350円ほどでした)を使いましたが、手芸用のボンドの方が粘着力も強く、乾きも早いので、使いやすかったですよ。
・千枚通し
甲冑の縅しのための細かい穴をあけるときや紐を通すときに使います。100均で購入したものを使いました。使い続けると先端が摩耗して、穴をあけずらくなるので、紙やすりなどで研磨しながら使うといいと思います。キリをお持ちの場合はそれを使ってもいいと思います。
・パンチ
千枚通しの穴より大きめの穴をあけるときや、鳩目用の穴を空けるときに使います。これは100均には売ってなかったので、ホームセンターで購入したもの(700円ほどでした)を使いました。何種類かの穴のサイズがあるので、用途に応じた穴を空けることができて便利です。
・セロテープやクラフトテープ
段ボールや紐等を留めるときに使いますが、見えないような段ボールの裏側とか兜の内側で使用します。100均で購入したものを使いました。僕は使っていませんが、布テープやビニールの絶縁テープの方が粘着力が強くてよいかもしれません。
・ペンキやラッカー塗料
甲冑の色付けに使います。金色や銀色、ベースの黒色を用意しましたが、シンナーの臭いが近所迷惑になったので、僕は色付きの段ボールを使うようにしました。100均のラッカーの場合、全体を塗装すると、2~3缶は必要だと思います。
・その他
グルーガンなどがあればいいかも知れません。100均で購入しましたが、200円か300円かかっちゃいました。段ボールの接着にも使えますし、模様や飾りつけにも使えますが、せっかく用意したのに僕は使いこなすことができず、段ボールの接着のみに利用しました。
甲冑のパーツ
甲冑は幾つかのパーツでできています。
各パーツをどれだけ細かくつくるか、特に縅(草摺や袖などの板と板をつなぐ紐)を細かく丁寧に仕上げることで、甲冑にリアルさが生れたり、クオリティが増すことになります。
甲冑のパーツについては大まかに次の通りとなります。(あくまで大まかです)
それぞれのパーツを作り上げて、それをつなぎ合わせてオリジナル手作り甲冑を製作しました。
兜(かぶと)
頭を守る部分です。「鉢」「しろこ」「前立て」「吹返し」「目庇(まびさし)」等の部分からできています。戦国時代以降の当世具足と呼ばれる頃には、鉢の形や前立てを奇抜な形ににした個性的な変わり兜が生れてきています。
・鉢を作り、しろこを平紐で縅します。
・しろこは鉢を覆うように4段で作りました。
・吹返しは一番上のしろこを長めに作り、外側に曲げて広げるようにしてしろこと一体型で作成しました。
・目庇は帽子のつばのようなスタンダードな形のものを前面に取り付けました。
喉輪(のどわ)
喉を守る部分です。2段から5段のもので、形状はいろいろです。オリジナル甲冑なので、お好みの形で作ってもいいと思いますが、僕は今回の作品では、このパーツは作っていません。
袖(そで)
腕と肩を守る部分です。甲冑の時代によって、袖の大きさは違っています。鎌倉室町時代は騎馬の弓戦が主戦だったため、大鎧のように袖の大きな甲冑が主流でしたが、戦国時代の甲冑は動きやすさに重点をおいたため、大鎧のように大きな袖は衰退しています。僕の場合オリジナルなので、袖の大きさや造りは適当に作りました。
・袖は4段で素懸縅で作製しました。
・出来上がった袖を肩掛けの部分に綿紐で固定しました。
・肩の部分と袖との繋ぎ方がよくわからないので適当に固定してあります。
・鳩目を使って紐を通しています。
・草摺りと同じにしたので見栄えは良くないようです。
籠手(こて)/手甲(てっこう)
籠手は腕を守る部分。手甲は籠手と一体化しているもので、手の甲、指を守る部分です。
今回の作品ではこのパーツは作っていません。
胴(どう)
身体を覆う部分です。銅には幾つかの種類があります。大鎧の銅は脇部分と同部分が分割されていたようです。現在の剣道の道具に近く、前面部分だけを防御する腹当と呼ばれる胴や背面部も防御できる腹巻、着用がしやすい一体型となった銅丸などがあります。僕のオリジナル甲冑は前部分と後ろ部分を両脇でマジックテープで着脱できるように作りました。
・胴の形は適当に子供のサイズに合わせて作りました。
・胴の胸板部分は端切れで飾ってみました。
・肩掛けの部分も同じ端切れで作ってみました。
・前と後ろをマジックテープで楽に脱着できるようにしました。
・胴の下の部分には草摺りを取り付けるように、前面に3間分、後ろ面に3間分の穴を空けています。
草摺(くさずり)
銅に下がっている腰から腿を守る部分です。段数(板の枚数)は概ね5段、間数(板の下がっている列の数)は6~8間が多い。胴丸の草摺は偶数で、腹巻の草摺は奇数となっています。大鎧の場合は4間となっています。
・草摺りは前に3間、後ろに3間の計6間にしました。
・板を平紐(靴紐)で縅して作成。
・素懸縅という簡易な紐の繋ぎ方で縅しました。
・胴の下部分に穴を空け草摺りを繋ぎ合わせてあります。
・裏側は紐をテープで留めてあるので、かなり見栄えが悪いですね。
佩楯(はいだて)
腿を守る部分です。草刷りの下にエプロンのように着けている部分です。
このパーツは今回の作品では作っていません。
臑当(すねあて)/立挙(たてあげ)
臑当ては足を守る部分で、立挙は臑当と組み合わせで膝を守る部分です。
このパーツは今回の作品では作っていません。
パーツの組み立て
上記の各パーツができたらそれを繋ぎ合わせて組み立てることになります。
概ね平紐や綿紐で繋ぎ合わせています。
完成作品
こんな感じで完成となります。
仕事から帰ってから子供と一緒にせっせと作業していました。1日2時間くらいの製作時間で、途中で失敗もあり、概ね2週間程度で完成しました。
どうですか。
子供と一緒に今年の夏休みの自由課題として作ってみてはいかがでしょう。
オリジナルで作るならそれほど難しくないのでは。
まとめ
僕は素人で、甲冑の知識もそれほどありません。
何枚かの甲冑の写真を参考に子供と一緒に自分なりに作ったオリジナルな作品です。
サイズも適当でしたが、子供がぴったり着用はできました。
夏休みの自由課題として子供と一緒に作るわけなので、あくまで子供とのコミュニケーション重視。クオリティについては二の次な作品なのでご了承ください。
また、夏休みの自由課題としてだけでなく、男の子が生まれたお父さんお母さん方には、5月5日端午の節句に、自分のお子さんのためにオリジナル甲冑を作って贈ってあげるのもいいかも知れませんね。
少し小さめのものを作っておけば、びしっと着用させて記念写真に収めることもできるだろうし、遊ばせてやることもできる。
高価なものでもありませんし、手作りの甲冑だから子供らに存分に遊んでもらって、壊しちゃっても全く気になりません。この甲冑も既に壊されてしまって、現存はしていませんから。
子供と一緒に手作りすることで、子供にとっても、お父さんお母さん方にとってもいい思い出になるかも知れませんよ。
夏休みの自由課題として、是非子供と一緒にチャレンジしてみて下さい。
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